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カトリック山手教会前の信号を南に入ると、緩い坂道が自然に山手公園へ誘ってくれる。ヒマラヤスギが思いっきり背丈を伸ばし、気侭に下枝を広げたなかに緑の風が流れる。テニスの球を打ち合う音も聞こえてくる。ここは平成16年3月、国から『名勝』の指定を受けた。開園は明治3(1870)年。我が国初の洋式公園だ。当時、できたばかりの園内奏楽堂で、これもできたばかりの薩摩藩軍楽隊が演奏を披露した。日本で初めてのテニスがプレーされたのは、開園から4年後。その2年後にはテニス・クラブの誕生を見ている。園内にテニス発祥記念館がある。落ち着いた木造の館内に、竹で編んだラケットなど、往時のテニス用具一式や、女性のテニスの服装などが展示されている。入館は無料だ。
この公園独特の景観を作り出しているヒマラヤスギは、1879年に英国人ヘンリーブルークがインドから種を輸入し、苗木をこの一帯に植えたものがルーツだ。その後、全国に広まり、今では皇居や新宿御苑にも自然に育った樹形を見ることができる。白い瀟洒な公園管理事務所の建物は、関東大震災後に外国人向けに立てられた貸家を移築したものだ。(岩永)
- お話しを伺った人:
- 紹介者:NPO法人 横浜シティガイド協会