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エキゾチックな元町を山手の丘に折れると、やがて家並みが切れて緑につつまれた元町公園下段の入口にたどりつく。そこは明治初期にフランス人ジェラールが、横浜港に来る船に飲料水を供給する取水場の跡で土地の人は水屋敷を呼んでいた。赤道を越えても「おいしい水」と評判で、今でも当時の貯水槽が現存し由来板で往時を偲ぶことができる。
またジェラールは山手に建てられる洋館用瓦の製作にも進出した。元町プールの管理棟には発見された当時の瓦に葺き替えられ、由来板と共に昔の面影に浸ることができる。
その元町プールは公園の中段にあり、昭和天皇のご大典を祝って横浜市青年団が発案し、横浜唯一の公式プールとして昭和5年に建設された。学生の水泳大会なども開催されたが、水屋敷の名のとおり湧き水で冷たいが、夏には涼を取るに人の声が谷間にこだましている。
上段部には山手の旧居留地に接しており、マクガワン邸の遺構エリスマン邸、べーリックホールなどの洋館が横浜市によって保存管理されて一般に開放されており、当時の外国人の生活に想いを馳せることができる。このほか園内には弓道場、大正活映撮影所跡の石碑、ペンキ発祥の地の碑など歴史を刻む跡を見ることができる 。(杉島)
- お話しを伺った人:
- 紹介者:NPO法人 横浜シティガイド協会